2008年8月14日木曜日

わがままの利かない集団生活。

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8月14日(火曜日)


朝、馬の世話、ブラッシング。


わがままの利かない集団生活、寮生活に疲れてきた様子のキュルチュール組。


「みんなでアニメ見る時と買い物の時が一番幸せだなあ」(週に1度土曜日の夜テレビが見れるらしい)などとつぶやいている。「そろそろお下着がない」(男の子談)の声も。ジュヌヴィエーヴに話して、「何でも洗濯してくれるって」と言ったら「ヤッター」と小躍りして喜んでいる。いずれにしても東京とは隔世の観がある。


まず、初心者のグループが馬に乗る。これまでの総復習。右に曲がる。発せられる言葉は「Ecartez la main !」脇は閉めたまま、肘から手までの腕を扇のように開く動作をインストラクターは繰り返す。「Ecarte la main ! Mais ne tire pas !」(手を開いて、でも引くんじゃない!)という注意も繰り返される。


「Quand tu tires, le poney, il a mal, Tu comprends ?a ?」
(引けば、ポニーは痛いんだよ、分かる?)


「Ecarte la main, puis pose la main !」
(開いたら、手は置く!)


これもよく繰り返される言葉。馬上で慌てる子供は、右に曲がったあと手を浮かせてたまま、左にも開いてしまう。


「Si vous ?cartez ? droite et ? gauche, le poney ne comprend pas o? aller !」
(右にも左にも開いたら、ポニーはどっちに行っていいか分からないよ)


「Ecoute, c'est tr?s simple ! Si vous allez ? droite, vous ?cartez ? droite, si vous allez ? gauche, vous ?cartez ? gauche. Il n'y a que deux gestes ? faire !」
(右に行くときには右に開く。左へ行くときは左に開く。やることは二つだけ、簡単でしょ!)


馬場においた、三角の赤い4本のポールの脇を右に左に、自力で蛇行できるようになるまで、練習は何度でも続く。1グループ約6名。練習時間は約2時間。


その間、中級グループは、栗の木の下で、手綱の部分のボキャブラリーをプリントで学び、色を塗っている。


彼らが馬場に入る番になった。やはり、歩く、右に曲がる、左に曲がる、止まる、の基本動作から始まる。皆基本動作が安定して、確信を持って行っている。


早足もお手の物。ここで習ったのだろうか? キュルチュール組の男の子の一人は舌を鳴らすかけ声も心得ていて、馬はすぐに早足に移行する。馬の大きさと彼の背丈のバランスがよく、背筋を伸ばした馬上の姿も決まっている。


中級組に入ったキュルチュール組の女の子、全くの乗馬初心者であったにもかかわらず、基本動作の安定した習得が素晴らしい。


初心者の練習に加えて、全員が合図に合わせて一斉に左折し、そのまま前へまっすぐ進む練習もする。


基礎動作が終わったら、両側二つのプラスチックの台に渡した棒を馬に飛び越えさせる練習。最初は地上10センチ程度。なんのこともなくどの馬も通り越して行く。


次に棒は30センチ程度の高さまで上げられる。障害を前にしてひるむことなく、馬の腹に踵を打ち、スピードを落とさないようにしなければならない。タイミングをはずすと馬は躓く。足の間に棒を入れたまま進み、積み重ねたプラスチックの台が音を立てて崩れる。


中級者のレッスンもやく2時間。インストラクターは一貫してMarin。声を枯らしていた。午前中の通しの4、5時間の授業が終わった後、友達におぶってもらって移動し、ベンチに仰向けに寝て、さらに、食卓に突っ伏していた。


昼食は、パスタ、ハンバーグ、チーズ、メロン。


午後、子供達は竹やぶの中で山小屋作り、さらにかくれんぼ。それから放牧場にボールをもって移動して、激しくボール遊び。


帰ってきてから、山道を2、3キロ登って、やぎチーズ農場を見学。ヤギ農家までの道中の風景は美しかった。道の右側は谷。栗の木が生い茂り底は見えない。川が流れているようにも見える。あるいは、雨不足で干上がってしまった川底かもしれない。谷の向こう側の山の中腹のどうやって辿り着くのか検討もつかないところに、石造りの家が点々としている。その家から谷間を見下ろす絶景と同時に、そんな世の中と隔離されて住むしんどさも想像される。勝手に自分の黒い馬を連れきたリーズが、谷間に響くように声の限りに歌っている。


ヤギ農家で子供達は搾乳体験。農家の人が家族ででてきた。親子、兄弟、顔が酷似している。訛りが強く、言葉の区切れがはっきりせず、何を話しているのか聞き取りにくい。が、すでにチーズの研究のためにここを訪れた日本人があると聞いて驚いた。


AOCをすでに2000年に獲得したPelardon を作っている。


ここのヤギは美しく、瞳孔も丸くて可愛かった。皆、首に鈴をつけている。


帰りも歩き。東京ではこんなに歩かない。子供達には、くだくだと文句を言う習慣がないらしい。


エメラルドに戻ったのは9時。まだ日は落ちず、明るい。ようやく栗の木の下で夕食が始まった。

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