2008年11月15日土曜日

なぜバロック音楽?

Share
忘却の彼方からの「バッハ再発見」

バロック音楽とは、17世紀初めから、18世紀中頃までのヨーロッパにおける音楽の総称。

同時代の日本は、1603年に江戸幕府開幕。18世紀前半は将軍吉宗による享保の改革。

ヨーロッパは宮廷文化の花開く、絶対王政の時代。

リュリはルイ14世の下、クープランはルイ15世の下、ヴィヴァルディはハプスブルグ家のカール6世の下、テレマンは自由都市ハンブルグで、バッハはケーマンの宮廷で活躍した。

初期から後期まで、バロック音楽の各時代の様式を熟知した上で、高度に駆使して自らの作品に活かしたバッハは、バロック音楽を集大成した作曲家と見ることができる。

しかし、18世紀後半以降、バッハをはじめ、バロック音楽は過去の遺物として完全に忘れ去られた。

音楽の時代は古典派からロマン派へ。

1823年ベルリン、裕福な家庭で英才教育を一身に受けて育った早熟な少年は、祖母からクリスマスに、バッハの「マタイ受難曲」の自筆稿の写本を贈られる。少年の名はフェリックス•メンデルスゾーン。

6年後、二十歳の青年が企画したものは「J.Sバッハ マタイ受難曲 作曲者の死後初! 百年ぶりの復活演奏@ベルリン•ジングアカデミー」。

国王フリードリッヒ•ヴィルヘルム3世、哲学者ヘーゲル、詩人ハイネもその場に居た。会場に入りきれなかった人、1000人。時代はバッハを「再発見」し、メンデルスゾーンの企ては音楽史上の快挙となった。

こうして、バロック音楽は時の彼方から戻ってきた。

古楽 あるいは 古楽復興運動

過去の音楽をリバイバルさせようとする試みのこと。メンデルスゾーンの「歴史的発見」に遠い端緒を得て、19世紀末に興る。

古い音楽を再評価し、時代考証し、楽曲が作曲された当時の様式を持つ「昔の楽器」で演奏する。

作品が求めている一番良い演奏方法を追求し、その時代にふさわしい演奏を試みる。

古楽器の研究と復元は、特に1970年以降、古楽器を用いた演奏とともに盛んになる。

そして、•リコーダー

リーコーダーの名称の由来は「記録するもの」(recorder)の意で、小鳥に歌を覚えさせるために使われたと言う説も有あるが、信憑性のほどは不明。フランス語ではフルート、より正確にはフルート・ア・ベック(flûte à bec; くちばし付フルート)。現在のフルートの原型である横笛だけが、フラウト・トラヴェルソ(横に持ち替えたフルート)として区別された。

17世紀には現在使われるものとほぼ同じ形に完成。独奏楽器、合奏楽器として、数々の名曲が作曲される。特にテレマンは自ら好んで演奏した。が、バロック後半の18世紀には、フルート•トラヴェーシエールに主流の座を譲り、古典派音楽に至ってはほぼ顧みられなかった。

20世紀初頭より、古楽復興運動の中で、古楽に欠かせない楽器としてリバイバル。

木製木管楽器。

一方、初心者でもなんとか音を出すことが容易なためドイツと日本で教育用の簡易楽器として普及。
教育用はプラスチック製。

2008年11月21日@キュルチュール 東京藝大古楽専攻の森吉京子さんを中心とするリコーダーコンソート「アンテロープ」が、ずっと昔、花形楽器であったリコーダーのアンサンブルとしての魅力を私達に伝える。

ボジョレー•ヌーボー + バロック音楽 

今年の香りを運ぶ新清なワインと若い音楽家達のエネルギー

0 件のコメント: